何かを評価するには、相対する別の何かが必要である。
コロナ禍という異常事態によって、日常に溢れる
当たり前を見直すきっかけになったように。
ある作品の良さを伝えるために、別の作品の
共通化できる部分を比較してみせたり。
異常さを矯正しようとする世間の目を振り切って、
逃げ続けて、怖がり続けて、その先にある暗闇に光を見出す。
普通の人生。普通の幸せ。普通に就職して、普通に結婚する。
そういった「当たり前」からドロップアウトした人間。
レールを外れた、みたいに表現されることもあるが、
脱線した人間だからこそ、見えてくる幸せは必ずある。
普通の人間に気付けない、ともすれば蹴り飛ばすほど弱い、
道端の石。ささやかな祈り。ちいさな幸せのつみ重ね。
その脆さを知り、その儚さを思り、その尊さを識る。
そうしていつか、常識だと思っていたモノの正体と出会う。
その刻、その場には当然を嗤う善はなく。
自我と他我という最小の相対化を以て、超然と佇む全があるだけだ。

