26/09/13 アオアシ

日記

サッカー少年漫画。ユースを舞台とした王道スポ根もの。80点。本当にサッカーが好きな人が描いた、リアルな(現実的な)作品だと思う。

テーマは「思考」だろう。人間は考える葦である、という言葉の通り。スポ根には珍しい、とにかく理屈や理論でスポーツを観るという体験が面白い。

それが心理描写の緻密さや内心の葛藤に繫がっていく、というのも素晴らしい。

作風自体は少年漫画の王道。漫画的な誇張はありつつもリアリズムが強め。6巻の衝撃的なアレとか、普通のスポーツ漫画ならあり得ないし。

演出もいい感じ。要所でカッコいいキメ絵を出してくる感じとか大好き。絵として飽きさせないようなコマ割りや絵作りも素晴らしい。

テンポはまあまあ。作品の方向性として「言語化」が重要なファクターなぶん、話の進みはそこまで早いわけではないが、そこが楽しいんだよなという感覚もある。

世界観はなかなか。ユースがどういったところで、何を目的にした場所なのか、プロのサッカー界と何が違うのか、どういった関係にあるのか……

みたいな部分が面白い。作者は相当取材を重ねたのだろうなと思う。よくも悪くも「サッカー」が軸なので、それ以外の描写が薄いと言えなくもないけど。

キャラはいい感じ。主人公の長所とかがちょうどいいんだよな。栗林とか最高だ。11人のスポーツである以上、キャラ数が必然的に多くなってしまうのは仕方ない。

必要最低限の描写や、混乱させないような配慮は感じられた。情報の取捨選択が上手。阿久津あたりが少しヘイト稼ぎすぎかな〜という感覚はあったが、キャラ的に仕方ない。

UXはほぼ完璧。ロジックで展開していく作品として、読者を置いていかないような言葉選びや絵での説明のしかたが本当に素晴らしい。頭は使うから疲れるけれど。

構造は若干難あり。というのも青森戦が盛り上がりのピークで、そこから先がおまけというか、キャラクターが成長しきったあと、無理やり展開していたような印象を受けてしまった。

終わり方も、正直尻切れトンボ感は少しある。新一年とかプロ入りとかもう少し続けられたはず。でも物語とかこの企画のテーマを伝えきるには必要だったと断言できるのが難しいところ。

総合的には本当に面白かった。読後感がこんな最高なエンタメは滅多にない。これを読んでからサッカーを見る目は間違いなく変わった。それぐらいすごい作品だと思う。

次回は映画「8番出口」の感想を投稿予定です。

今日はここまで。

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